2022年6月2日

【補聴器は両耳にした方が良いのか?】(メガネ・補聴器のウインク沼津原町店)

メガネ・補聴器のウインク沼津原町店では、補聴器のご相談でよくある話をブログなどでご紹介しております。今回は、「補聴器は両耳にした方が良いのかどうか?」というお問い合わせです。

メリット1:両耳だと音の方向が分かりやすくなる。

ヒトは、左右の耳が同じくらいに聞こえる状態だと、音の方向が分かるようになっています。例えば右方向に音の発生源があれば、通常、右耳には大きく音が聞こえます。音の発生源から遠い左耳には小さく聞こえます。
こうして人は、左右の耳に入ってくる音の微妙な差で、無意識に音の方向を判断しているのです。

補聴器を片耳だけに着けた場合、この機能が正常に働かなくなり、音の方向は分からなくなります。補聴器を着けた方の耳は、常に音が大きく聞こえるためです。

例えば、左耳だけに補聴器を使った場合、右方向から話しかけられても、左から入ってくる音の方が大きいので、左から話しかけられているように誤解してしまいます。

ほかにも、道路を歩いているとき、右後ろから自転車が近づいてきてベルを鳴らした場合、左後ろからベルの音が聞こえてきたと思うので右によけてしまい、ぶつかる可能性があります。

メリット2:騒がしい場所で会話を聞き取るときには両耳の方が有効

耳の良い人は、うるさい場所で会話するとき、無意識に左右の耳を使い分けています。騒音の発生源が右側にあれば、左の耳で言葉を聞き、この逆に騒音が左側にあれば、右の耳で言葉を聞いています。
騒音と人の声、それぞれの角度によって左右の耳を使い分けて言葉を理解しています。

例えば、右耳だけに補聴器を使っている場合、右方向から騒音が聞こえてきたら、人の言葉も聞こえにくくなってしまいます。とくに屋外で会話するときは、交通騒音や風の音など色々な音が入ってくるため、両耳と片耳では聞こえ方の違いが大きくなります。
下の図は、右耳だけ補聴器を使用した場合です。右側から騒音が発生していると、補聴器には騒音と話し手の声が混ざってしまい、かき消されてしまいます。左側は、補聴器を着けていないのでよく聞こえません。

両耳に補聴器を使った状態は、下の図のようになります。
右方向から騒音が入ってきて、右耳には話し手の声が聞こえなくても、左側の補聴器に声が入ってくるので会話に困りません。

メリット3:いろいろな方向から話しかけられても聞き取りやすい

補聴器を使っている人が、誰かと会話する場面で「どんな方向から話しかけられているか?」を調査したデータがあります。

Ear Asymmetries and Asymmetric Directional Microphone Hearing Aid Fittings | American Journal of Audiology

一番言葉が分かりやすいのは、もちろんお互いに顔を見て話しているときです。真正面という分かりやすい方向から話してもらえる場面は、日常の生活の中で全体の68%でした。この逆に顔を向けていない方向から話される場面(つまり言葉が少し分かりにくくなる場面)は、32%でした。これはアメリカでの調査データなので、遠慮がちな日本人は、もっと顔を見ずに、分かりにくく話している可能性があります。補聴器を両耳に使った場合、この32%の場面で聞き取りが改善する可能性が出てきます。まず補聴器を片耳だけに使った場合のデメリットをご紹介します。仮に右耳だけに補聴器を使っている場合、左方向から話しかけられたとき、声が聞こえにくくなります。

左方向からの声が全く聞こえないわけではありません。しかし左方向の声が右耳の補聴器に届くまでに、相当小さくなります。これは自分の頭が障害物になって、音を遮ってしまうためです。この逆に、両耳に補聴器を使った場合は、下の図のようになります。

日常生活の中では色々な場面で色々な方向から話しかけられます。補聴器を片耳だけに使っていても、補聴器を着けた耳を相手に向ければ、もちろんよく聞こえます。しかし、話しかけられたとき、常に補聴器を着けている耳を相手の方向に向けることは簡単ではありません。補聴器を両耳に使うと、右から話しかけられても、左から話しかけられても、相手の言葉を自然に聞くことが出来ます。

両耳のデメリット:補聴器の購入、電池、修理のコストが2倍になる。

先に「補聴器は両耳で使った方が、コストパフォーマンスが高くなる」とご紹介しました。それはご予算が合計25万円以上の場合です。補聴器専門店で流通している補聴器の多くは、お値打ちなものでも片耳10万円ほどになります。ご予算が20万円以下の場合、両耳にすべきか片耳にすべきかは判断が難しくなります。ご予算が10万円以下であれば、多くの場合は片耳のみに補聴器を使った方が良いでしょう。また補聴器を両耳に使うと、必要な電池代も増えます。補聴器には電池式と充電式がありますが、電池式の補聴器を使っている場合は、単純に電池代が2倍になります。

まとめ:補聴器はご予算に合わせて両耳を推奨致します。

基本的には、補聴器は両耳に使った方がよく聞こえるようになります。コストパフォーマンスから見ても、十分なメリットが得られるでしょう。例外として、左右の耳の聴力に大きな差がある方、ご予算が20万円以下の方、左右どちらかの指先の器用さに心配がある方などは、片耳だけに補聴器を使った方が良い場合もあります。その場合は、メガネ・補聴器のウインク沼津原町店で補聴器専門スタッフにご相談ください。一人一人のご要望・聴力・指先の器用さなどに合わせて、ご提案させていただきます。